第9回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)受賞者【当事者部門】
「心の病になったって人を元気にすることはできるはず!」 夫婦チンドンで啓発活動
NPO法人立山WAいいちゃ サービス提供責任者 / ピアヘルパー / ピアカウンセラー
家族が友人と設立したデイサービス施設でサービス提供責任者として働きながら、夫婦チンドンのパフォーマンスで疾患の啓発活動を行っている。同じ障害をもった仲間とともに、地元の祭りや地域の行事に参加するなど、町の活性化に貢献するユニークな活動が評価された。
■ チンドンが生きていく自信を取り戻すきっかけに
23歳のとき、夜勤や仕事のプレッシャーなどが重なって 不眠、妄想などが出るように。死のうと思って山に入ったところを父親に助けられ入院。統合失調症と診断された清水さんは、まわりの人の視線に敏感になり、自分のことを何か言われているのではないかと気になって、どんどん人と関わりづらくなっていく。2004年、妻に「どうせ変な人と思われているのだったら一層のこと、正々堂々と皆に笑ってもらえばいい」と言われ、富山市の「チンドン育成講座」を受講。2005年には素人チンドンコンクールに夫婦で出場し、観客からの拍手や「元気になった」と声をかけてもらったことが「こんな自分でも人を喜ばすことができる!」と生きていく自信を取り戻すきっかけになった。
■「あんたたちのお陰で元気になったわ。」ありのままの自分が受け入れられ
退院後は10回以上転職。妻が友人とNPOを設立して2005年デイサービス施設『いい茶家(ちゃ)』を開所し、そこで念願のピアヘルパーとして働き始めた。周囲の人に自分の病気について話すまでには1年かかったが、デイサービスで地域の人々と交流しながら、彼らに楽しんでもらいたいと チンドンのイベントを企画したりするうちに自然と偏見もなくなり、現在では公民館の催しや敬老会にも呼ばれるなど、地域の人々に受け入れられている。
■ 病気とうまく付き合いながら
「睡眠時間を守り、どんな場合にストレスを受けやすいかを把握する。調子の悪いときは無理をせず休ませてもらい、医師だけでなく相談相手を何人かもっておくことも、病気とうまく付き合うために大切だと思う」と清水さん。
■「持ちつ持たれつ」の関係で
子どもから高齢者まで、障害の有無にかかわらず様々な人が集まる富山型デイサービス。その利用者や地域の人々と助け合いながら、「持ちつ持たれつ」生きるのがいいと清水さんは言う。「心の病になっても社会の役に立ち働ける環境づくりを、今後も継続していきたい」と語った。